「里親家庭の支援」について

概要

○里親を支援する機関

  • 里親を支援する機関には、里親会、児童家庭支援センター、里親支援専門相談員を置く児童養護施設や乳児院、公益法人や NPO法人などがあります。
  • 静岡市では、里親を支援する機関として、NPO法人静岡市里親家庭支援センター、静岡市里親会や里親支援専門相談員を置く静岡ホームや静岡乳児院がありますが、これらの機関は、児童相談所との連携の下、それぞれの機関の役割に応じて、里親支援を行っていくことが求められています。
  • なお、当センターは、里親支援機関A型としての指定を受け、市から委託された里親支援事業を実施しています。

里親の支援の大切さ

○里親の現状

家庭で生活ができない子どもたちを公的な責任の下、社会全体で養育していくことを社会的養護といいますが、里親やファミリーホーム(小規模児住居型童養育事業)で子どもを養育することを「家庭養護」といい、乳児院、児童養護施設での養育を「施設養護」といいます。
子どもの発達上、特定の大人との愛着関係の形成が重要であることを踏まえ、平成28年6月に成立した改正児童福祉法では、児童は適切な養育を受け、健やかな成長、発達や自立が図られる等の権利を保障されること、及び、国及び地方公共団体は、児童を家庭において養育することができない場合に、児童を家庭における養育環境と同様の養育環境において継続的に養育できるよう改正されました。
この間、厚生労働省は、欧米の主要国で、里親委託率が5割を超えているのに対して、日本における里親等委託率はまだ低いレベルに留まっています。このような現状を踏まえ、この間、施設はできるだけ家庭的な養育を目指し、小規模化、地域化を図るとともに、里親委託優先の方針の下、令和11年度までに、3割程度まで里親委託を増やすことを進めてきましたが、平成30年3月末現在の里親等委託率は20.5.%と毎年、1%の上昇に留まっています。
家庭養育の推進をさらに加速させるため、児童福祉法を改正し、特別養子縁組を含む養子縁組や里親委託を、原則として取り組むこととなりました。
静岡市の里親等委託率は、平成31年3月31日現在で48.5%と新潟市に続き、全国第2位に達していますが、欧米並みになるには、まだまだ里親を増やす必要があります。

 

○里親委託が増えない理由

里親子の間で形成される愛着関係を通じて、子どもの社会的・精神的な発達への効果などが認められ、厚生労働省は里親委託を原則に進めようとしていますが、次の掲げるような課題もあり、なかなか里親委託が進まない現状があります。
  • 里親制度の社会的認知度が低く、市民が里親のことを知らない。
  • 里親の希望する条件(性別、年齢、養子縁組可能性等)に合わない。
  • 施設入所と比較して実親の同意が得られにくい。

 

○里親養育の課題

子どもを委託された里親にとって、次のような里親養育特有の様々な課題があり、委託後の里親支援が重要になっています。
【里親養育における課題】
  • 里親は、子どもを成長途中で預かることになるため、子どもとの関係性において、養育上の様々な不安や悩みを抱えることが多い。
  • 児童虐待の増加とともに、委託される子どもの中には心に傷を持つ子どもも多く、様々な形で育てづらさがでることがある。
  • 里親子に対する地域の理解が進まないことで、オープンにできず、近隣や地域の協力が得られにくく、孤立しがち。

 

○里親支援の取組みの必要性

以上の課題を踏まえ、第一に、里親制度の普及啓発を一層推進し、地域住民の理解を深める必要があります。
第二に、里親への委託に当たっては、里親の希望する条件のほか、子どもの発達、特性や里親の持つ特性、力量などを考慮した上で、里親と委託する子どもとの適合性について十分な調整をする必要があります。

最後に、委託後は、里親が養育上の悩みや不安を一人で抱え込み、孤立することがないよう、定期的な家庭訪問や色々な機会を通じた相談支援の実施、養育技術向上のための研修会の開催や里親同士の相互交流の促進などの様々な支援が必要です。
また、このような里親への支援は総合的な取組みとして行うとともに、継続して行う必要があります。